ECサイトのサイト内検索で起きる0件ヒットは、「表記ゆれ」「誤字・入力ミス」「お店とお客様の言葉のずれ」「条件の付けすぎ」の4つが主な原因です。対策は、0件になった言葉を集めて4つの原因に分け、同義語辞書や検索の設定で直したうえで、0件になったときの画面を整えることです。本記事では、原因ごとの具体例と対策、サイト内検索を改善するための毎月の確認手順を紹介します。
ECサイトの検索窓に言葉を入力し、検索ボタンを押す。ところが返ってきたのは「お探しの商品は見つかりませんでした」という一文だけだった。お客様にとって、これほどがっかりする瞬間はありません。
サイト内検索を使うお客様の多くは、すでに「こういう商品がほしい」という目的を持っています。つまり0件ヒットは、お客様が「買いたい」と思ったまさにその瞬間を逃している状態です。しかもこの損失は売上の数字には表れにくく、気づかないまま放置されていることが少なくありません。
0件ヒットの4つの原因と対策(早見表)
| 原因 | 例 | 主な対策 |
|---|---|---|
| 表記ゆれ | 掛け布団/かけぶとん | 文字の自動統一、同義語辞書 |
| 誤字・入力ミス | ベット(正しくはベッド) | あいまい検索、候補の表示 |
| 言葉のずれ | 部屋着/ルームウェア | 同義語辞書、検索用キーワード |
| 条件の付けすぎ | 黒 ワンピース 大きいサイズ 綿 | 一部が一致すれば表示する、絞り込みへの案内 |
1. サイト内検索の0件ヒットとは?なぜ売上に影響するのか

0件ヒットとは、サイト内検索で入力された言葉に対して、検索結果が1件も表示されない状態のことです。「ゼロマッチ」と呼ばれることもあります。
0件ヒットが問題になる理由は、大きく2つあります。
検索するお客様は購入意欲が高い
トップページやカテゴリから商品を眺めているお客様に比べ、検索窓を使うお客様は、探している商品がはっきりしています。具体的な商品名やブランド名、型番を入力するお客様は、見つかればそのまま購入に進む可能性が高い層です。そのお客様に何も表示できないのは、購入目前のお客様を店先で帰してしまうのと同じです。
0件のあとにお客様が離脱してしまう
実店舗であれば、店員に「こういう商品はありますか」と聞き直すこともできます。しかしECサイトでは、0件の画面を見たお客様が別の言葉で検索し直してくれるとは限りません。「このサイトには置いていない」と判断し、検索エンジンや他のECサイト、ECモールへ移ってしまうことも多いでしょう。
さらに、実は商品を取り扱っているのに0件になっているケースも少なくありません。在庫も商品ページもあるのに、サイト内検索で見つけてもらえない。これは最ももったいない機会損失です。
2. サイト内検索の0件キーワードはどうやって調べる?
0件ヒットの対策は、0件になった言葉を集め、検索回数の多い順に原因を分けるところから始めます。感覚で対策を考えるより、実際のお客様の検索データを見るほうが、早く確実に改善できます。
0件になった言葉は、次のような方法で集められます。
- サイト内検索ツールの管理画面:検索ログや0件キーワードの一覧を確認できるツールが多くあります。
- Googleアナリティクス:設定を行えば、0件になった検索語を計測できます。具体的な設定方法は「サイト内検索の0件ヒットをGoogleアナリティクスで計測する方法」で解説しています。
言葉を集めたら、検索された回数が多い順に並べてみてください。上位の数十語を見るだけでも、「この言葉が0件になっていたのか」という発見があるはずです。次の章からは、集めた言葉を分類するための4つの原因パターンを紹介します。

3. 原因①表記ゆれ:書き方の違いで商品が見つからない
表記ゆれとは、同じものを指す言葉が、ひらがな・カタカナ・漢字・送りがな・全角半角などの違いで、いくつもの書き方に分かれることです。商品データと検索語の書き方が違うと、商品があっても0件になります。
たとえば「掛け布団」という言葉一つをとっても、お客様は次のようにさまざまな書き方で検索します。
掛け布団 / 掛布団 / かけ布団 / 掛けふとん / かけぶとん / 掛けフトン

商品名が「掛け布団」で登録されていても、検索エンジンがこれらを同じ言葉だと判断できなければ、「かけぶとん」で検索したお客様には0件が表示されてしまいます。
表記ゆれには、主に次のような種類があります。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| ひらがな・カタカナ・漢字 | ふとん/フトン/布団 |
| 送りがな | 掛け布団/掛布団 |
| 全角・半角 | Tシャツ/Tシャツ |
| 大文字・小文字 | tシャツ/Tシャツ |
| 長音(ー)の有無 | コンピューター/コンピュータ |
| 言い換え | Tシャツ/ティーシャツ |
対策1:文字の自動統一
全角と半角、大文字と小文字、ひらがなとカタカナなど、機械的に変換できるものは、検索の段階で自動的にそろえるようにします。多くのサイト内検索ツールにこうした機能があるので、まずは設定を確認してみましょう。
対策2:同義語辞書
「掛け布団」と「かけぶとん」、「Tシャツ」と「ティーシャツ」のように、機械的な変換だけでは対応しきれない言葉は、同じ意味の言葉として辞書に登録します。0件になった言葉の一覧から、表記ゆれと思われるものを拾い、少しずつ辞書を育てていくのが現実的な進め方です。
4. 原因②誤字・入力ミス:辞書だけでは防げない
誤字・入力ミスによる0件とは、お客様の打ち間違いや聞き覚えのままの入力が、正しい商品名と一致しないために起きる0件です。辞書だけでは防ぎきれないため、あいまい検索や候補の表示で補います。
お客様は、いつも正しく言葉を入力してくれるとは限りません。特にスマートフォンでの入力では、打ち間違いや変換ミスが起こりやすくなります。
よくある誤字・入力ミスには、次のようなものがあります。
- 聞き覚えのまま入力する:「ベッド」を「ベット」、「バッグ」を「バック」、「ディズニー」を「デズニー」
- 打ち間違い:文字の抜けや順番の入れ替わり
- 変換ミス:「ワンピーす」のように変換が途中で確定してしまう
- ローマ字のまま確定:日本語にする前に検索ボタンを押してしまう
こうした誤字をすべて辞書に登録して対応するのは、現実的ではありません。誤字のパターンは無数にあり、新しい商品が増えるたびに新しい誤字も生まれるからです。そこで有効なのが、次のような仕組みです。
- あいまい検索:入力された言葉と完全に一致しなくても、似ている言葉を含む商品を表示します。
- 候補の提示:「もしかして:ベッド」のように、正しいと思われる言葉を提案し、ワンクリックで検索し直せるようにします。
- 自動の置き換え:よくある誤字は、正しい言葉に自動で置き換えて検索します。

誤字への対応については、「ECサイトの売上を上げるサイト内検索エンジンを構築するには 〜Part3:スペルミスの補完〜」でも詳しく紹介しています。
5. 原因③言葉のずれ:お店とお客様で呼び方が違う
言葉のずれとは、同じ商品をお店とお客様が別の言葉で呼んでいる状態です(例:ルームウェアと部屋着)。同義語辞書や検索用キーワードで2つの言葉をつなげば解消できます。
たとえば、店は「ルームウェア」と呼んでいるのに、お客様は「部屋着」と入力する。店は「ボトムス」として登録しているのに、お客様は「ズボン」と検索する。どちらも同じ商品を指していますが、言葉が一致しないため0件になってしまいます。

このずれは、特に次のような場面で起こりやすくなります。
- 専門用語や業界用語:店側は正式な名称を使うが、お客様は日常の言葉で探す
- 用途やシーンでの検索:「旅行」「キャンプ」「入学式」「プレゼント」など、商品名ではなく使う場面で探す
- 悩みや目的での検索:「乾燥」「におい対策」「腰痛」など、解決したいことで探す
特に用途やシーン、悩みで探すお客様は、まだ具体的な商品を決めていないことが多く、ここで適切な商品を見せられれば、新しい購入につながるチャンスにもなります。対策としては、次のような方法があります。
- 同義語辞書への登録:「部屋着」と「ルームウェア」のように、言い換えの関係にある言葉を登録します。
- 検索用キーワードの登録:商品ごとに、用途やシーンを表す言葉(「旅行」「出張」など)を検索用のキーワードとして登録します。
- 特集ページやカテゴリへの案内:「入学式」「母の日」のような言葉は、商品単体より特集ページへ案内したほうが、お客様にとって選びやすい場合があります。
0件になった言葉の一覧を見ると、「お客様はこんな言葉で探しているのか」という気づきが多く得られます。商品データを作る側の視点だけでは見えない、お客様の言葉を知るための貴重な情報源です。
6. 原因④条件の付けすぎ:言葉を重ねるほど0件になる
条件の付けすぎによる0件とは、お客様が言葉を重ねて検索した結果、すべての条件を満たす商品がなくなる状態です。一部の言葉が一致すれば表示する設定にすると、近い商品を見せられます。
たとえば「黒 ワンピース 大きいサイズ 綿」と検索したとします。多くのサイト内検索は、初期設定では入力された言葉が「すべて」含まれる商品だけを表示します。黒いワンピースも、大きいサイズのワンピースも、綿のワンピースもそれぞれあるのに、4つの条件すべてを満たす商品がないため、結果は0件になってしまいます。

お客様からすると、「完全に条件に合う商品がなくても、近いものを見せてほしい」というのが本音でしょう。黒で大きいサイズの、ポリエステルのワンピースがあれば、十分に検討の対象になるはずです。対策としては、次のような考え方があります。
- 一部の言葉が一致すれば表示する:すべての言葉が一致する商品がない場合に、条件を少し緩めて、多くの言葉が一致する商品を表示します。
- 一致した数で並べる:すべての言葉が一致する商品を上位に、一部が一致する商品をその下に表示します。
- 絞り込みへの案内:色やサイズ、素材などの言葉は、検索語としてではなく絞り込みの条件として扱い、お客様が条件を外したり変えたりしやすくします。
ただし、条件を緩めすぎると、今度は関係の薄い商品まで表示されてしまいます。このバランスについては、後半の「0件を減らしすぎる落とし穴」で触れます。
7. 0件になったとき、画面に何を表示すべき?
0件になったときは、代わりの言葉・人気商品・カテゴリへの案内を表示し、お客様にもう一度探してもらうことが大切です。
ここまで紹介した対策を行っても、0件ヒットを完全になくすことはできません。本当に取り扱いのない商品が検索されることもあるからです。そこで大切になるのが、0件になったときに表示する画面です。
「お探しの商品は見つかりませんでした」とだけ表示する画面は、お客様にとって行き止まりです。0件の画面でも、次の行動を示すことで、離脱を防ぐことができます。

- 代わりの言葉の提案:入力された言葉に近い言葉や、よく検索されている言葉を表示し、ワンクリックで検索し直せるようにします。
- 人気商品やおすすめ商品の表示:サイト全体や関連カテゴリの人気商品を表示し、お客様が新しい商品に出会うきっかけを作ります。
- カテゴリへの案内:検索語に関係しそうなカテゴリへのリンクを表示し、一覧から探せるようにします。
- 検索のコツの表示:「言葉を短くする」「ひらがなで入力する」など、検索し直すときのヒントを表示します。
一方で、0件の画面を真っ白にする、すぐにトップページへ移動させる、といった対応は、お客様を混乱させるのでおすすめできません。0件の画面は「失敗の画面」ではなく、「もう一度探してもらうための画面」として設計しましょう。
8. 0件はゼロにすべき?減らしすぎの落とし穴
いいえ。0件はゼロにはできず、無理に減らすと、関係のない商品が表示される「検索ノイズ」が増えて検索の質が下がることがあります。
0件ヒットの対策を進めるうえで、注意したいことがあります。それは、0件を減らすことだけを目標にすると、検索結果の質が下がってしまう場合があることです。
たとえば、あいまい検索の範囲を広げたり、一部の言葉が一致すれば表示するようにしたりすると、0件の数は確かに減ります。しかしその代わりに、お客様が探しているものとは関係ない商品が表示される「検索ノイズ」が増えることがあります。
- 「スラックス」で検索したのに、収納用の「ラック」が表示される
- 「ワイヤーブラ」で検索したのに、「ノンワイヤーブラ」が上位に並ぶ
こうした結果は、0件ではないものの、お客様にとっては「このサイトの検索は使えない」と感じる原因になります。サイト内検索の0件対策は、「0件の数」だけでなく、「表示された結果がお客様の探しているものに合っているか」もあわせて確認することが大切です。
次回予告:こうした「検索ノイズ」がなぜ起きるのか、その仕組みと対策を詳しく紹介します。
9. サイト内検索の改善は、毎月どう進める?
0件ヒットの改善は、月に1回、「一覧を出す→並べる→原因ごとに分ける→直す→結果を確かめる」の5つの手順をくり返すのが効果的です。新しい商品が増え、季節が変わり、お客様の使う言葉も変わっていくため、一度の対策では終わりません。

- 0件になった言葉の一覧を出す:サイト内検索ツールの管理画面やGoogleアナリティクスから、前月分の0件キーワードを出します。
- 検索回数の多い順に並べる:まずは上位50語ほどに絞ります。すべてを見ようとすると続きません。
- 4つの原因パターンに分ける:表記ゆれ、誤字、言葉のずれ、条件の付けすぎのどれにあたるかを分類します。取り扱いのない商品は「取り扱いなし」として別にしておきます。
- 多いパターンから直す:表記ゆれが多ければ辞書を、言葉のずれが多ければ検索用キーワードを、というように、効果の大きいものから対策します。
- 翌月に結果を確かめる:直した言葉が0件から外れているか、関係ない商品が出ていないかを確認します。
なお、「取り扱いなし」の言葉が多い場合は、お客様が求めているのにまだ扱っていない商品があるという、品ぞろえの見直しのヒントにもなります。
サイト内検索の0件対策でよくある質問
商材や商品数、お客様の探し方によって大きく変わるため、一律の目安はありません。他社と比べるより、自社の0件率を毎月記録し、対策の前後で下がっているかを確認するのが確実です。
いいえ、表記ゆれ対策だけでは解消できません。誤字・入力ミス、お店とお客様の言葉のずれ、条件の付けすぎも0件の原因になるためです。0件になった言葉を4つの原因に分け、それぞれに合った対策を行います。
全角と半角、大文字と小文字、ひらがなとカタカナのような機械的な違いは、自動で統一できます。一方、言い換えや業界用語は自動では判断しにくいため、同義語辞書への登録と、検索ログを見ながらの定期的な見直しが必要です。
いいえ。取り扱いのない商品が検索されることもあるため、ゼロにはできません。0件を無理に減らすと関係のない商品が出る「検索ノイズ」が増えるので、0件になったときの画面づくりとあわせて対策します。
商品数や、社内で検索の運用を担当できる人がいるかで判断します。辞書の更新や検索ログの分析を続ける手間を減らしたい場合は、運用機能がそろった検索ツールが候補になります。
まとめ
サイト内検索の0件ヒットは、購入意欲の高いお客様を逃してしまう、気づきにくい機会損失です。主な原因は、表記ゆれ、誤字・入力ミス、お店とお客様の言葉のずれ、条件の付けすぎの4つで、原因ごとに合った対策があります(記事冒頭の早見表を参照)。
あわせて、0件になったときの画面を整え、0件を減らしすぎて「検索ノイズ」を増やさないよう注意することも大切です。まずは自社のサイト内検索で、0件になっている言葉の上位50語を見るところから始めてみてください。
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